権利を譲渡する…という方法
相続をするときにトラブルになりやすいのが、遺産の分割です。これは、相続人多数のときに行いますが、しばしば揉めごとが大きくなりがちであるため悩む人も多いことでしょう。
そこで、相続分の譲渡という制度を適用することで解決を図る方法があります。
これは自分が受け取る財産を譲渡する…というものではなく、民法905条で規定されており、自分が権利として所有する地位そのものの譲渡を指しています。例えば自分の相続分が1/3であった場合に、1/3の権利を譲渡する意味です。被相続人に財産以外にも借入金等の債務があった場合には、その債務も当然ながら引き継ぎます。
メリットは…
この方法を取ることで遺産分割協議からの早期離脱ができます。遺産分割で揉める原因には、自分が受け取る財産の内容には納得していても他の相続人同士が納得していないことによって、遺産分割がなかなかまとまらないパターンがあります。そうしたときに、自分の本来の取り分を他の相続人に譲ってその対価として金銭を受け取ることで分割協議から離脱することが可能となります。そうすることで問題を複雑化させずに済ませることが可能な場合があるため、希望して離脱する人は多いです。1つ覚えておかなくてはいけないことは、他の相続人に対して相続分の譲渡を行いその見返りに金銭を受け取った場合には、その受け取ったお金を対象に相続税が課税されるため忘れずに申告しましょう。
第三者への譲渡の際は注意が必要
相続分の譲渡は、相続人同士でなく、実は第三者に対しても行うことは法的には可能ではあります。ただ、これを行う際には誰に権利を渡すかは慎重に決めなければなりません。揉めている当事者達からすれば、まったくの他人に財産の権利を与えるということになるためトラブルをかえって大きくしてしまう可能性があります。
もしも行うのであれば、タイミングが重要な要素です。譲渡は分割協議の前に行う必要があるためです。遺産分割がまとまってからだと、相続分の譲渡を行うことはできません。