安いってことはメリットだけど、デメリットにはどんなことがあるんだろう…?
でももちろん、うまい話ばかりではありませんよ。
借地権ということは、建物は借地人の物でも、土地は地主の物。両者間には契約があり、そして日々の生活を営む中で、時に借地人と地主間でトラブルが起こることがあります。
今回は、借地権をめぐる様々なトラブルについてお話します!
そもそも借地権、借地人、地主とは?
借地権とは一般的に、第三者の土地を借りて自己所有の建物を建築できる権利兼土地を指しています。
この借地権という権利を持ち、借地上に自己所有の建物を建築したり実際に生活をしている人を借地人や借地権者と呼びます。そして、反対にこの借地を貸している人は地主と呼ばれています。
当然ながら借地人は借地を借りる対価として、地主へ地代を払います。その金額や契約期間等はそもそも借地契約を結ぶ際に双方合意した内容なはずですが、時が経つにつれ状況が変わり、地主側から契約内容の変更を求められることがあります。
ケース① 地主が世代交代することにより発生するトラブル
では、「時が経つにつれ状況が変わり、地主側から契約内容の変更を求められる」とは、どういったケースかと言うと…。
代表的なのは、地主の世代交代によって生じる契約内容の変更の要求です。
現在の法律では借地権は相続できるため、地主から借りている土地であっても借地人は三世代の家族が住み続けられます。当然、地主にも貸し続ける義務が生じますが、月日が立てば双方に世代交代のタイミングが訪れます。
例え、契約を結んだ当人たちが亡くなっても、契約書が手元に保管されているなら全く問題ありません。
しかし、借地権の契約は、古き良き時代に祖父母たちの口約束で契約を結んだケースが珍しくなく、書類が手元に残ってないことも多々あります。この様な時に地主側が世代交代して、突然「今後の地代を上げる」とか「応じてもらえないなら出て行ってもらう」など、借地人には肝を冷やす宣告をしてもおかしくはないのです。
しかしこうした要求には、基本的には応じる必要も無く、出て行く必要もありません。
借地人が支払わなければならないのは借地権の契約(口約束も含める)で決められた金額です。これは契約で決められたことなので、両者共に守らなければなりません。
地主が、借地人の承諾なく契約内容を変更することはできないので、つまりこの要求は、借地人に対する契約内容変更の「お願い」にすぎません。したがって借地人が値上げに応じるか否かは強要されるものでなく、自由です。
また、地主は、借地人が要求に応じないからといって賃貸借契約を解除し、賃借人を追い出すことはできませんので安心して下さい。
ケース② 地主が別の第3者に変わることにより発生するトラブル
次に、地主が別の第3者へ借地を売却し、新しい地主に契約内容の変更を要求されるケースが挙げられます。
「もともと借地人Aは地主Bと契約を結び、借地上に家を建て生活していましたが、この地主Bが借地を第三者へ売却し、新たな地主Cから契約内容の変更(地代の値上げや退去の要求など)を要求してくる」…と言ったケースです
しかし、この場合でも、借地人はこうした要求には、基本的には応じる必要も無く、出て行く必要もありません。
借地が新地主へ譲渡されると、特約がない限り、賃貸借契約における賃貸人の地位も新地主へ移行します。ですので、新地主は旧地主と同じ権利、そして義務を持つこととなり、借地人は新地主に対して今までと同じ権利を主張することができるのです。
しかし注意も必要です!
新地主とトラブルになり、借地人が借地権の正当性を主張するには、それ相応の「対抗要件」を示さなければなりません。
この対抗要件は、「契約書が手元にあって内容が示せること」や、「借地上に借地人のマイホームが存在している」という事実だけでも証明できますが、もし契約書を紛失していて、借地上のマイホームが火災等で消失した場合には…?
▼この対抗要件については別記事で詳しく説明していますので、是非こちらもご覧ください。
ケース③ 地主が地代を受け取らないというトラブル
ケース①や②のように、地主が変わることによって地代の値上げなど契約内容の変更を要求され、借地人にとっては地代の値上げについて合理的な理由が見当たらないという判断から値上げを拒否し、数日後に従来通りの地代を支払おうとした時に、それを地主に拒絶されてしまうことがあります。
このように地主が地代を受け取らないケースには、「供託」という方法を利用することが可能です。
供託とは法律に基づいて金銭や有価証券など物品を、供託所や指定の倉庫に預けることを指しています。これに関しては最寄りの法務局などに相談する必要があるでしょう。供託を行うことによって地代を支払う義務のある賃借人などの債務者が、債務不履行により生じる不利益から解放されることにつながります。
ケース④ 借地人の世代交代により発生するトラブル
地主と借地契約を結んだ借地人当人が亡くなって借地権の相続を行う場合に、承諾料や名義変更料を請求される場合があります。
しかし、借地権を第3者へ売却する「譲渡」ではなく、借地権の「相続」の場合は地主の承諾の義務もなければ、承諾料や名義変更料を支払う必要もありません。要求された場合には、きちんと拒否をしましょう。
しかしながら、地主との関係を円滑にするために相続の報告をしておくことは良いことかもしれません。もちろん義務ではありませんが…
また、相続に際しては借地上の建物の名義を相続人名義に変更しておくと、借地権の主張ができるのでトラブル回避に大変有効です。
トラブル回避の為に…
このように、借地権に纏わるトラブル回避は様々あります。
基本的には、地主と借地人で日ごろから円滑な関係性を維持するよう努力するべきですが、人と人との関係はそう簡単なものばかりではないかもしれませんね。
大事なことは、両者共に契約書をきちんと保管しておくことや、借地人としては借地上の建物をきちんと登記しておくこと。
両者間で解決出来そうになければ、不動産会社などのプロに介入してもらったり、弁護士に相談することもあります。
また、裁判所に赴いて借地権を保証してもらい、調整してもらうのも効果的と言えます。
こちらのサイトでは、そのようなトラブル回避の為の情報も今後も上げていきたいと思います!どうぞご期待ください!
他にも様々なトラブルがありますが、代表的なものをご説明しました。 きちんとトラブルのケースを知って、お得な借地権付き物件を是非ゲットしてくださいね。
以上、借地権に纏わる「地主」と「借地人」間に発生する様々なトラブルについて説明しました!