借地権問題

実例!借地契約における堅固建物所有目的の問題について、判例を元に解説します!

借地契約において忘れてはならないのが、「堅固建物所有目的」の存在です。堅固建物所有目的の存在がある限り、実際に堅固建物を建てていて、堅固建物として認められるのかどうかが重要になります。

それでは、借地契約における堅固建物所有目的の問題について、実際に過去にあった判例を元にご説明しましょう!

ケース1 非堅固建物所有目的の借地契約にもかかわらず、堅固建物が建築された場合、堅固建物所有目的への変更の合意が成立するか

今回の問題のカギとなるのは、非堅固建物所有目的の借地契約であったにもかかわらず、借主が堅固建物を建築したケースです。
この場合、非堅固建物所有目的の借地契約を行っているので、合意なく堅固建物が建築された場合は貸主が異議を申し立てることで堅固建物所有目的は認められません。

ここで最大のポイントになるのが、貸主の対応です。本来であれば非堅固建物所有目的の借地契約であるにもかかわらず堅固建物が建築されたとなると、建築されつつあることを知っていた場合は異議を申し立てることもできるはずです。

はたして堅固建物所有目的へ変更する合意が成立する余地はあるのでしょうか。それでは一つの事例をご紹介しましょう。

異議を申し立てない場合は合意が成立する!

A=土地の所有者
B=土地の一部を賃借して建物を建築した者
C=Bが経営する別法人
E=Aが土地を売り渡した相手
X=Eから土地を買い付けた者
Y=Cの後に旧建物を利用する者

ここでポイントとなるのが、Y社が非堅固建物所有目的にもかかわらず堅固建物を建築したことです。
もちろんこれは用法違反ではありますが、裁判所の見解ではA側が堅固建物を建築されつつあったことを知りながら異議を申し出なかったこと、堅固建物が建てられた後も本件土地に赴いているにも関わらず異議を申し立てなかったこと、建物を含む周辺の土地や防火地域及び商業地域に指定されていたこと。これらが判断材料となりました。

これらの観点から、旧借地法7条に基づき、地主がどんな時でも一切異議を申し出ない場合は、非堅固建物所有目的の借地契約でも堅固建物が建築された場合、堅固建物所有目的に変更する暗黙の合意が成立したものとして扱われます。

ケース2 借地契約に「鉄筋を含む建物の新築を承諾する」特約がある場合、「堅固建物所有目的」といえるか

上記で問われるのは、借地契約に「鉄筋を含む建物の新築を承諾する」という特約がある場合で、借地期間は20年という記載があり、かつ鉄筋を含む建物は建てられていないという状況でも、これは「堅固建物所有目的」だと言えるのかどうかです。

そもそもなぜこんなことが論点になるかというと、旧法において非堅固と堅固では借地契約期間に違いが出る(非堅固なら20年以上、堅固なら30年以上)からです。

それでは、ここでも一つ事例をご紹介しましょう。

特約があっても建物が建築されない場合は所有目的にならない!

A=借地契約の貸主
B=相続により、建物の所有権と借地上の借主を承継している
C=Bの母
X=Bから相続により、建物の所有権と借地上の借主を承継している
Y=Aから貸主の地位を承継している

ここで問題となるのは、契約内容の解釈です。
2階建てまでなら増改築及び鉄筋を含む新築を建てる時は条件を付すことなく承諾するものとしているものの、建物の構造についての記載がされておらず、借地期間を20年間としており、さらに未だに鉄筋の建物が建てられていません。

本来であればここで鉄筋の建物が建てられていれば堅固建物所有目的として認められますが、建てられていない以上は非堅固建物所有目的となってしまいます。つまり、建築されるかされないかで堅固建物所有目的が変更される余地があると言えるでしょう。

まとめ

借地契約における堅固建物所有目的の問題は、土地上に建物が建てられるかどうかによって非堅固建物所有目的になるかどうかが変わります。契約書を確認して、堅固建物所有目的になっているかどうかをチェックする必要性があるでしょう。

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