既存不適格

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物

既存不適格建築物は、法改正などが行われることによって発生してしまう問題のことです。
既に建設してある建物の中でも法改正が行われた後の新しく作られた規定に不適合なもののことを言います。
それらの建物が建設された当時はしっかりと法令の規定に沿って造られていたので問題はありませんでしたが、その後に時代の流れによって法令などが見直されてしまったことで既存不適格建築物として判断されることになります。

建築時期に注意を

建築基準法は少しずつではありますが毎年のように変化しているので注意が必要です。
10年前のものとなると内容が大いに異なってくるため10年前に建てられたものが現在の規定に不適合となるという事態は一般的です。
そのため既存遡及が免除されています。
遡及とは昔に遡って効力を発揮するという意味であり、新しい法が作られた際の内容は既にある建物においては免除されるという仕組みです。

このことによって所有者の負担を減らして安心できるように配慮されています。
既存不適格となることを緩和する動きがありますが、一部では遡及の対象となるケースも存在します。
それは防災の面において衛生上有害であったり保安上危険だとみなされる場合です。
このケースは現状ではあてはまるものがほとんどないので、今の段階ではあまり気にする必要はありません。

既存不適格建築物の工事

既存不適格建築物に当てはまっているものを増築したいと考えている場合は、一般的には増築する部分と既存不適格建築物を別棟として作ることが多いです。
構造計算のやり方は、増築する部分の延べ面積や構造上で分離をするかどうかといったことなどによって左右されます。
大規模で模様替えや修繕などを実施したいというケースでは、外壁や屋根をメンテナンスすることを目的として施工されることが多くなっています。
この場合は既存躯体に対して危険性が増すことのないように気をつけることが必要です。
外壁が古くなってしまい落ちたり剥がれてしまうという事態を防ぐために行うことも多いですが、原則として危険性が生じることはできません。

カバー工法と呼ばれる手法は、これまである屋根の上から新しく作った屋根をかぶせることでカバーをするやり方です。
このやり方で行ってしまうと荷重が増えてしまい危ないので、この方法を導入することはできません。
建物を建築し終えた後に容積率における面積率制限の数値や建ぺい率が改正されて、規定されているものをオーバーしてしまうこともあるでしょう。このような場合、今まで以上の面積を増加させるということはできないようになっています。

このようにして既存不適格建築物となったものの場合は、大規模修繕や増改築などを必要としないリフォームをする際はオーバーしてしまった面積を取り除かなくても良いです。
確認申請を必要とする建て替えやリフォームを検討しているときは、現在定められている基準に適合させる必要があるので注意しましょう。
建て替えやリフォームをしたいと考えている場合は、事前に今の家を建ててから現在までにどのような変更や改正があったかということをしっかりと把握しておくことが大事です。
さらにどの部分に適用されるのかということまできっちりと頭の中に入れておくと、後からトラブルが発生してしまうという事態を回避することができます。

昭和25年に建築基準法が誕生して施行されましたが、時代が変化したり住宅性能や建設技術などが向上していったこともあってこれまでに何度も改正が行われてきました。
都市部が発展していき住宅などが密集していくと災害時の対応方法が変化していったため、それに合わせた環境の守り方が模索されていくようになります。
このように現在の状況に合った安全な建物にすることが求められています。

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